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「偽見合いぃ?」

 「しー!ヴェイタさん、声が大きいです…!」

「あ、わり」

「極秘プロジェクトって言ってたじゃんか。 誰かに聞かれたらどうするんだよ」

「ルミナスちゃん、そこまでは言ってなかったと思うわよ…?」



時は深夜。アドニアのとある宿に、先程使いの者が訪れ、状況を簡潔に説明し、去っていった。

協力を仰ぐこともあると思われるが、その際はよろしく頼む--そんな感じだった。

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「つまりは何か。なんだか青春な感じの二人を取り持つって感じなのか。」
 
「…カイエ、アリオトはお前にだけはきっと言われたくねぇよ」

「ななな!?何を----!!!」

「あーもう静かにしろって!深夜だっつーのー!!」
 
「ルミナスちゃんてばっ今一番響いてるっ」


リフィルが改めて、控えめにしー、と人差し指を立てる。
そこでようやくメンバーは落ち着き、思い思いの方々に腰を落ち着ける。
…思わず声が小さくなる。
 
「でもさ、そこまでする程のことなのか? わざわざそんな極秘プロジェクトで大勢巻き込んで。
確かにあのにいちゃんは固そうだったけど」
 
「だから極秘じゃねぇって」
 
「ただ言いたいだけだろ…」
 
「でも、何だかちょっとわくわくしません? お二人が既に相思相愛ってことは、
私たち恋のキューピッドみたいな 感じになるかもなのですよね」
 
「うわ…リフィルっぽい発想…」
 
「そーしそうあいかどうかは…わっかんないけどさぁ」

「でもさー、まぁ…別に何かしようとしなくても良いんだよな?」

「ああ、…まぁ、多分な」
 

リフィルは、微笑ましい二人がうまく行くといいですよね、と天使の笑顔を浮かべる。
元々天使なのだが。
 
ルミナスはめんどくせーなーと呟きながら、まんざらでもなさそうだ。
頼まれれば立ち回ってくれそうな雰囲気を感じる。

カイエは…しきりに首を捻っている。ぴんと来ねぇって感じなんだろう。

まぁ、計画の実行はあのジルの旦那とアルフレドだ。
特に茶々入れる必要もねぇと思うが。
ましてや人の恋路に首突っ込む気はねぇ。
…そうは思う。

だが、まぁ。 誰かが背中を押したほうが良い時も…あるってことなんだろうよ。

 
「…察するに」

「え?」

「当事者は一国の王女とその家臣だ。…下手なことはできねぇ」

「そりゃまぁ…そうなんだけどさ」

「なるほどなぁ…あの王も人の親、ってことだ」

「えぇ??」

つい、頬がゆるんじまう。
しまんねぇ顔してる自覚はあるが…思わず出ちまう。
もちろん、国を想い、娘を想った末の一芝居だ。
慎重に話を進める必要はあるな。
だが…随分とあったけぇ話だな。

 
「くくっ」
 
「何だよー!ヴェイタんおっちゃん、一人で何分かってんだよ!」

「気持ちわりいな、ちょっと教えろよ!」

「ふ、二人とも落ち着いて…」
 
「あ、わり。…くくっ」
 
「もー!!」
 

俺たちはただ、必要があれば裏方に回ればいいだけだ。
てめぇの気持ちはてめぇ自身が気付かなければ意味がない。
…人を想う気持ちなら、尚更だ。
荒療治になる可能性も否定できねぇが…そこはそれだ。
つうか、そうなるみたいなんだったか。
 
姫さんは立場上、そして彼女の気性上。
簡単に認める訳にはいかねぇだろう。
気付いちゃなんねぇくらいは考えてるかもしんねぇ。
姫さんのことをまるで知らねぇ俺にだって、それくらいは解る。
だから… 鍵はアリオトが握ってる。
 
野郎はバカがつくくれぇ王に、姫さんに、そして国に忠誠を誓ってる。
あいつも騎士だ。私情を挟むこむような真似はしねぇはず。
奴も奴で、必要以上に頑なに目を逸らしそうな気はするが。

……だがなぁ。これは男の仕事だ。
全ては奴の、…姫さんの心を動かせるだけの覚悟だな。
まぁ、王がこれほど認めた男だ。
託せるだけの人間だということだろうから、その心配は--


「…でも、ヴェイタさん」

「あ?」

「失礼ですけど、あの、アリオトさんって。 ……そっち方面うとそうじゃありません…?」

「………」
「………」
「………」

『…確かに。』
 
「…すげー生真面目だってことはわかる。
まぁ、良い兄ちゃんだとは思うけどさ」

「確かにああいうタイプは色恋に超奥手か超ニブいかどっちかな気がするなぁー」

「私は後者を推します」

「推してどーする」

「姫さんはいいとして。 …もしかして、これそっからスタートなんじゃねぇか?」

「うう、そんな気がするーーー何だこれぇえ」

「…何だこの前途多難さ…」


本人不在のとこでこう言うのもわりぃが。
……言っちゃわりぃが。
…アリオト。
…お前…男として相当不甲斐ねぇこと言われてんぞ。
 



「----くっし!!」

急にくしゃみが出た。
変だな…風邪をひくような真似をした覚えはないが。
気を取り直して、周囲に目をやる。いつもの街並みだ。
城下は今日も落ちついている。
 
町に巡回に出るのは久々だ。
活気溢れるアドニアの民衆の生活は、特に問題は見られないように見える。
時々、声を掛けられる。ありがたい言葉をくれる方が大半だ。
王の、アドニア王家のお人柄からだろう。皆気持ちよい方ばかりだ。
…それもまた誇りに思える。

警備の統括を任されて以来、部下がだんだんと頼れるようになって、
俺自身が町に下りることはあまり無くなっていっていた。
まあ、陛下にお供して国を出ることもしばしばあるし、…結構あるしな。
それに特に異変があったような報告は、ここ最近受けてはいない。
気を緩める訳ではないが、街の人々が笑って過ごしている様子を見ると。
…安心できる。
良い報告ができれば--
些細なことかもしれないが---

あの方も喜んでくださる。


「あの、…っアリオト様!」

「?」
 
不意に、後ろから声を掛けられた。
振り替えれば、若い女性が二人。何か困ったことでもあっただろうか。

「どうかされたか?何かお困りの用件でも」

「あああ、い、いえ…
あの、久しぶりにアリオト様が城下にいらっしゃるのを拝見致しましたので…えと」

「申し訳ありません、あの…警備の方、お疲れさまでございます。
えと、ありがとうございます…っ」
 
頬を赤らめて、そうたどたどしく話すふたり。
萎縮してしまっているように見える。
…何かおびえさせるようなことをしてしまっただろうか。
こういう時、何て言っていいのか…
最善がわからない。
…それでも、わざわざ声を掛けて労ってくれている。

 
「いや…それが自分の職務ですから。
それに、礼を言わねばならないのは自分の方だ」

「え?」

「わざわざ労いのお言葉をありがとうございます。
陛下にも今日の良い報告事項としてお伝えできそうだ」

「あ…」

「いいい、いえ、そんな!」
 


「…何だあの萌え殺しは」

「ルミナスちゃん、あんまりよく分からない言葉を使うと 主様に怒られるわよ…?」

「あおいはむしろ喜ぶ。賭けてもいい」

「つうか、ちょっとあの兄ちゃんだんだんあの人たちから距離置いてねーか?
向かいあってるっつうのにこんなじりじり後ずさりする状況は珍しいぞ」

「…ちらっと女性は苦手だ、って聞いたことはあったが…」

「顔はまぁまぁみたいだしなー。
それであの雰囲気であんなあまーく何か囁かれちゃったら、 そらファンの女は落ちるだろーな」

「ルミナスちゃん…多分その見方はフィルターかかってるんじゃないかなぁ…
アリオトさん、普通に顔が若干引き攣ってると思うんだけど…」

「ったく、しっかりしろよなぁ! この状況あの姉ちゃんが見てたらどう思うと思ってんだよっ」

「…カイエ、お前なんだかんだちゃんと応援してやってんだな」

「悪いかぁああ!!」

「しーーー!!ちょッカイエうるさい!!」

「というかあの、私たちこれ出歯亀っていうものですよね…?」

「物凄く偶然にあいつが目の前にいたんだからしょーがないだろーー!?」

「俺はどっちかっつうと嬢ちゃんが出歯亀って言葉を知ってたのが気になる」

「え え!?」

「ああもうちょっと黙ってろって!!見ろっ何かあの女言うつもりだぞ!」


「…あ、あのアリオト様…」
「はい?」
「ちょっ、聞くの?」
「だって…気になるじゃない」
「何か…?」

女性の片方が、一歩前に出て俺の顔を上目遣いに見た。
…正直なところ、女性のこの仕草が苦手だ…。
どう視線を返していいか、わからなくなる。
…少し視線をずらすくらいしか術が思い付かない…。
変な印象を与えなければいいのだが。


「アリオト様、あの」

「はい」

「あの…!っ……お」

「お?」

「お付き合いしていらっしゃる方とか…ッいらっしゃいますか…!?」
 

間。
 


「------っ」

「いいい、いらっしゃるんですか…!?」

「い、いえ!自分は…ッ…アドニア王家に仕える一家臣であり、 騎士という立場です。
そのような…ことは、王に仕える身には過ぎた話です」

「…で、では……そのようなお話は…」

「…勿体無いくらいです」

「そ…そうですか…!」

「はあ、良かったぁ」

「??ええと…」

「いえっ、気にしないで下さい!お仕事中失礼致しました…っ」

「ありがとうございましたっ」


…妙に浮き足立って、二人とも小走りに去っていった。
何か悲鳴じみたような声も聞こえたようだが…ふう。
一体なんだったんだろう。
この数分で汗をかいた………
……


『お付き合いしていらっしゃる方とか…ッいらっしゃいますか…!?』


「………!!!」
 

「あ、何か路地に入った」
「あ、顔すげぇ真っ赤になってるぞ」
「顔から火が吹くとかああいうのを言うんだな」
「ちょ、二人とも」

「一体何言われたんだ……」

「大方、何か色恋系のことだろー? あいつらはあからさまにアリオトファンだし。
見てるこっちが恥ずかしい」

「本当に苦手なんですね…そういうこと…」

「あーもー。しっかりしろよなぁー兄ちゃん」

「…んー…」

「…ヴェイタさん?」

「…わりぃな。ちょっと別行動だ」

「え?」

「ちょっ、ヴェイタ!?」

「どこ行くんだよ、おっちゃん!」

「え、あ、そっちは…!」



「…今、そういう話を…俺に振らないでくれ……」

路地に入って、壁に片手をついたまま。
思わずそう口にしてしまう。

…顔が熱い。
…情けない、あんな一言でこんなに感情を揺さぶられてるなんて--
…普段なら…そんな言葉一つ。どうっていうことはない。
例えこんな風になったとしても…
表に出してしまう程未熟ではなかった筈だ。

だが----
ただ----

あの方の顔が…よぎったんだ。



「よぉ」

そこで。馴染みのある低い声が、響いた。
 

「何やってんだ、こんな裏で。仕事中じゃねぇのか」

「…ヴェイタ殿」
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