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「あああぁあ、あぶなッ!!ちょッヴェイタんおっちゃん!
  いいかげん止めなくていいのか!?あーそこ!あー!」

「…カイエ、もう少し声落とせ。ただでさえ敏感な奴等だ、バレてもしらねぇぞ」

「っつーか!だから止めなくていーの!?にいちゃんたちすっげー本気だぞ!?」

「……止めちゃなんねぇ闘いだってあるってことだよ」

「え??あー、う?…そう…なのか?」

「そのうち解るようにならぁ」


つうか、これもあいつの計画の中だしな。

そこでカイエはようやく。
そうだった、と口を少し尖らせながらも、二人の闘いをまたおとなしく見ることにしたらしい。
身を乗り出したまま、息を飲んで城壁の縁にしがみついた。

…闘いと言うよりは。ただの殴り合いにすぎねぇが。



 

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奴等がそれを始めて、小一時間にもなるか。
つうか、俺たちがここに着いた時には、既に始まっていた。
これだけ離れていても、奴等のその空気は伝わってくる。

計画の全貌を聞いて、俺たちは二手に分かれることにした。
今頃、嬢ちゃんふたりはロスト家に向かっているはずだ。
最も――特にやることなんざねぇけどな。
どうやらジズは、思惑通り事を進めているらしい。


「…ッ大体だ!!お前はいつも飄々としやがって、本心を見せない!
  振り回される方のことも考えろ!!」

「それは心外だな、私はいつも真実しか口にしない!
  アリオト、卿は受け取る方がどのように感じるかまで常に推し量っているというのか!」

「そういうことじゃねぇ!お前は半分以上楽しんでやってるだろ!!」

「ははは!解っているじゃないか!ならば充分だ!」

「~~~ッッのーーー!!!」


…だんだん話の主旨がすりかわってる気もするが。
まあ、…いい機会なんだろうな。
――楽しそうだ。

 

「あ…!アリオト殿!?」

「えっ、ジズ隊長!?なななんで…!?」


――向かい側の渡り廊下に、二人に気付いた騎士が叫ぶのが見えた。
殴り合いをする二人に相当驚いている様だ。
二人はすぐさま下に降りようとしている。止める気か。
…それはまずいな。


「あ…!誰だあれ?」

「ん?」


――慌てる騎士二人を、止める騎士が、もうひとり。
どうやら二人の上役らしい、落ち着いた態度で諌めている。
…誰だ?
…あれは―――

 

「…大丈夫だ、特に私闘という訳でもない。ちょっとしたうさ晴らしのようなものだ」

「しかし副長――」

「心配するな。俺も、この件は陛下から聞かされている。お墨付きということだ」

「えぇ!?陛下が!?…一体何で…どういうことなんです?」

「さあな。まあ、あの二人ならお相子というところだろうよ。下手なこともやるまい。
  剣も抜いていないし、見なかったことにしてやれ」

「…はあ…その…副長がそうおっしゃるなら…」

「しかし凄い殴り合いだな…なんか叫んでるし…
  アリオト殿があんなに熱くなってるのなんて、
  陛下をお叱りになっている時以外は見たことない」

「ああ…隊長は何かある意味いつも通りだけど…すげー互角…」

「…そろそろ職務に戻れ?」

「あっ、はい!!申し訳ありません!」

「失礼します!」


「…アリオト。…頑張れ。
  …姫様は…お前を待ってるんだからな。」

 

――この場を収めてくれた、その騎士は。
アリオトの同期であり――
一番最初に、アリオトに見合いの件を伝えた警備の副隊長だったのだが。
それは俺たちの知る由ではなかった。

騎士はその場で壁に背を預け、二人を見守るつもりらしかった。
恐らくはこの件の協力者なのだろう。城内に疎い俺たちより余程適任だ。
この場は騎士に任せ、俺たちもロスト家に向かうことにした。

この勝負をカイエはまだ見ていたかったようだったが、
しぶしぶ俺の後に続いた。
何――後でまた、もっとおもしろい闘いが見られる。


それに…潮時の頃合いだ。

 


こういうのをクロスカウンターとでも言うのだろうか。

俺とジズは、同時にお互いの顔面に正拳を叩き込んだ後、距離をとった。
そして、お互いがそうするように腰を下ろした。
少し息を吸う。

…何をやっているんだろう。そう感じる程に、時間は経っていた。
…鼻っ面が痛む。


「はー…ジズ…お前…さっき…”それがお前の答えか”って…言ったな」

「…ああ。…は…その通りだ」

「…どういう意味だ。…俺はお前に問答された覚えはない」

「…質問で返そうか、アリオト」

「なんでだよ」

「卿は俺と同じことを感じていると思っていたが、やはり違ったということか」

「…意味がわからん。それに、それはさっきも聞いたな。
  …いい加減にしろ、ジズ。――何が言いたい!」

「…それはこちらの台詞だな」


――一瞬間、ジズの目の色が一層深く。
奴にしては珍しく、感情が目に見える程。強い表情となった。


…俺にはその意思が計り兼ねた。


「…卿が…ここまで物分かりが悪いとは知らなんだ」

「…いつもよりストレートだな。俺にはそのくらいが丁度良い。
  喧嘩を買えと言われているのと同義ととっていいか」


ジズはその返事はしなかった。
代わりに―――


「では卿は私にエアをとられても良いということで構わないな」

「…はっ?」


思わず――間抜けな声が出た。

 


「卿にとってエアは仕えるべき姫君でありそれ以上の感情は持ち合わせていない。
  例え私がエアと共に生涯を過ごす伴侶となっても寸分足りともその忠誠心は揺らがず、
  一家臣として陛下とエアと私の下でこれからも働いてくれるとそう言いたいのだな?」

「なななななな何言っ…何をどう盛大に勘違いするとそんな話になるッ!?
  つうかどんだけお前は自信持ってるんだ!!シリン様は見合いをされるんだぞ!?
  お前が言っているのはただの――」

「そんなことになっても、卿は黙っているのか」


ジズは――俺の話など聞いていない。
ただ、俺の奥底を問い詰めている。

…俺の。「こころ」を聞いている。

…ふざけるな。

――ふざけるなよ。

――うるさい。

うるさい…!!!!

 


「…ッ馬鹿を言え!!」


弾かれるように言葉が出た。
自然と膝が立つ。
…心臓が痛かった。痛みを抑える余裕などない。

演習場には太陽の熱い光が注がれるように射している。

ジズに――影が重なる。

 

「…たとえ…ッ万が一!お前だろうと、見合いの相手だろうと!
  シリン様が…選ばれたのなら、それを俺がどうこう言える資格などない!!!」


――お前じゃないんだ。俺は――お前ほど割り切れない。

そんなことを簡単に口にできない。

お前のようにはなれない。
お前にはなれない。


お前に解るか?


俺が…どんなに。

どんなに―――あの方を想っていても。

あの方を困らせる。

そうに決まっている。


シリン様を―――

 

「そんなくだらないことを、わざわざ聞くな!!」


「……」

 


…悲鳴にも似た叫びだった。

 

 


「…くだらんのは卿の方だな」

「…何?」

「卿がそんなに臆病者だとは思わなかった。とんだ見込み違いだったということだ」

「…な…」

「卿に問い掛けをした時間が勿体無かったな。所詮はその程度の想いだったということか。
  手間をかけてすまなかった。非礼を詫びよう」

「…ッッ…」

「この程度の障害で、エアのことを諦められるというのなら、それもまた良いだろう。
  私にとっては好都合だ」


…ふ、と。
怒りに我を忘れかけたが―――重要なことに今更ながらに気付いた。


…あきらめる?

 


「…俺がいつ……おい、ジズ。ジズ」

「ん?なんだ」

「…俺が…いつ……シリン様を……って言った」

「何だ、アリオト」

 

に。

 


「ばれていないつもりだったのか?」

 

 

 

 

「――――~~~~~~!!!!!!!」

「愉快だな、アリオト」

「誰が愉快だ!!…なッ、ジッ、え…~~~~~~!!!!」

「はははははははははははははあはあははh」

「だ…ああああ~~~~~~~~!!!!!」

 

…息ができなくなった。


俺とジズは互いに背を向け―――

しばし、呼吸を整えた。

…もっとも。ジズはいつものように、『戻って』きただけだったが。

 


「もう隠す余裕もないか、アリオト」

「あってももうごまかせる次元じゃないだろ…」


深いため息が出る。なんだよ。そういうことかよ、くそ。
信じらんねぇ。
馬鹿か。馬鹿なのか。…バカは俺か。


ジズに倣い、俺は胡座をかいてその横に並んだ。
太陽はもうすぐ天頂に到達する。それだけの時間が流れた。


今一体何時なのか知りたくもない。
懲罰をうけても仕方ない。今更言い訳などできないし、したくもない。
…職務を放棄して、一体何をしているんだ俺は。

…これだけ騒いでも、誰一人としてこの場に現れないのが不思議にも思えたが――
今はそんなことを考える余裕など、なかった。
…陛下は…今何をされている頃だったか……

…陛下。……

 

「アリオト」

「…なんだよばかジズ」

「ふ。…少しは頭が冷えたか?」

「…まぁな。…わるかったな、気を遣わせて」

「いや?気など遣った憶えはない。卿が気に病む必要などない」

「……悪い」


頭の奥が熱い。
心臓の痛みこそ治まったが、ため息をつかずにはいられなかった。

掌に付いた、演習場の土は――
太陽の光にすっかり干上がり、いつものような乾きを取り戻していた。
ざり、と音がする程つよくそれを握った。
…天をあおぐ。

…ジズが言う意味を量る。


太陽に。嘘はつきたくない。

 

「ジズ。…建前はやめよう」

「ああ」

「…俺は。…お前の言うとおり。…そうらしい」

「煮え切らないな。卿らしくない。自覚があっただけ、喜ばしいが」

「うっせえ」


ジズは軽く笑う。
いつものような、すました表情で――頭を反らせて天を仰いでいる。
…他の誰かだったら――こうはいかなかっただろう。
まだこめかみの熱は冷めないが――昨夜まで思い悩んだことが認められたような気がして。
男として恥ずべきところだが――こいつで良かったと、おもった。


「それで?どうする」

「…お前が言うのは…乗り込む、ってことだろう」

「そうなるか。卿からすればそうだろうな」

「…俺には…どうしてもお前のようにすぐ決断できない。あの人を奪いに行くと」

「何故だ?―――陛下のことか」

「…あぁ。」



何故これほどまでに頑なになるか。
それは個人の感情より、何よりも優先したいことが俺にはあるからだ。
…俺の命を懸けてでも。あの方に誓ったことを押し通したい。

できない。いや、したくないんだ。

あの方の信頼を裏切るような真似など。
あの方の大切な、何よりも大切なシリン様を――想うなど――許されるはずないと。

シリン様にも――ご迷惑などかけられない。
お二人には多大な恩義がある。

こんな。まだまだ未熟な俺が。
深いご恩をまだまだ返しきれない、こんな…俺が。

―――こわいんだ。

―――あのふたりに…あの方に。侮蔑の目で見られるのが。

 

俺にとっては。


王に見限られることは―――太陽に焼かれることに等しい。

 


…その時、ジズが。


「幻滅だな」と、一言吐いた。


 

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