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●風漢(ヴェイタ)の右目の病

→「混沌(こんとん)」と呼ばれる、悪魔の一種の呪い。
戦闘民族「桜牙」が"次期頭領は息子か実弟か"を巡って分断し、内紛が起こった際、
現頭領の息子側にいた彼が、相手側が雇った闇の者にかけられたもの。
その効能は極めて悪質、ヒトにかけられる呪いとしては最上級格にあたる。
負の感情-ある程度以上の怒り、憎悪といった感情や、身体を酷使する(戦闘がこれにあたる)などにより呪い…病が進行する。
普通の人間として暮らしていくには問題ないが、
彼のように闘いの中に身を置く者にとっては死活問題。
その眼には魔力が宿り、その者に強い力を与える半面、
十数年をかけて「失明」の道を辿る。そして、完全に見えなくなると同時にヒトとしての自我が崩壊する。
代わりに失明した眼に再び魔が宿り、別の人格を形成する。
これを「魔人」と呼ぶ。

常識的に、混沌にかかった者は迫害される。
並大抵では解かれぬ呪いであることと、また強い者ほど強い魔人となるためだ。
だが桜牙の長、意綱は風漢に対し、『死ぬ前までに治してきやがれ』という命令を下した。
意綱の側近をその若さで勤めて来た風漢。
尊敬する長への忠義として、風漢は離村を決意した。

●世界を旅して治療法を捜す

→世界中を旅することは、彼の長年の夢だった。
一族を誇りに思い、生涯一族の為に尽くすと決めていた彼だが、「外」へ出てみたいという気持ちは誰よりも強かった。
当に諦めていた夢だった。
だが事件が起こり、形はどうあれ夢が叶った。
命を賭けた旅。
「混沌」はとても不安定で不規則な進度の病。治療法は現存するのかどうかさえはっきりしない。
だが長の信頼に応える為、残された終わりが眼に見えない時間をそれに費やす。
その計り知れない重み、時折見る悪夢に人知れず苦しんだ。
その彼を支えたのが、リタだった。


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