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風漢(ふうかん)は高熱を出し、三日三晩苦しんだ。
右目が焼けるように熱い、痛いとうなされながらも掌を右目からどけず、
昏睡状態でいながら冷やすことを頑なに拒んだ。

まるで、痛むその目を晒したくないかのように。


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「…なあ、父さん。…風漢は、…だいじょぶだよね…?」

現頭領、意綱(いづな)の息子であり、
先の闘いにて後継ぎに正式に決まった意織(いおり)が、俯きながら呟く。
握りしめた小さな拳は微かに震え、
それを察しながら意綱は息子の頭にぽん、と大きな手を置いた。

「あの野郎を何だと思ってんだ、意織」
「え…」
「若くとも、この俺の側近だ。闇の者に術喰らったからって、簡単にはくたばらねぇよ」
「え!!やみのもの!!??なんかされたの!!??」
「あ」
「父さん!!!何されたの!!??」
「頭領ォオ!!!!なーに余計なこと言ってくれちゃってんスか---!!!!」

思いきり口を滑らせた頭領に強めのツッコミを入れつつ、
彼付きの闘士である紫皇(しお)が部屋に飛び込んできた。
主を足蹴にするかのようにどけ、半泣き状態の意織の両肩に優しく手を置いた。

「しお…」
「意織、とりあえず落ち着け?風漢は、絶対にこの場でいなくなったりしねえから」
「う…」
「ああ、泣くな泣くな。男だろ?お前は将来、一族みんなを守るんだ。
お前が一人前になったあとも、俺や風漢はお前の傍にいる。お前の背中を守るんだ。
こんな途中経過にあの野郎が逃げる訳ねえだろ?」
「…でも紫皇、こういうのって逃げるって言うの?」
「言うさ」
紫色の目をまっすぐ、未来の主に向けた。
「頭領より先に逝くなんざ、逃げ以外のなんでもねぇ。
…あの野郎が言ってたことだ」
「…」

涙目だった意織に、本来の強い表情が戻る。
乱暴に自分の目をこすり、睨み付けるように眼前の男を見つめた。

「…わかったっ」
「よぉし。さすがは意綱の息子。」
「だろぅ!!??」
「ここぞとばかりに話に入らないで下さい」

誇らしげに胸を張った頭領を、紫皇はピシャリと切った。
不満げにブツブツと呟く彼とを交互に見ながら、意織は漸く笑顔を見せた。
その様子を見て、紫皇は穏やかに笑み、少年の濃い色の髪をわしゃわしゃと混ぜた。

「わ ぷっ!?」
「っよーし、さあ意織、ガキはもう寝る時間だぜ」
「がッ、がき扱いすんな!!よ!」
「この程度でべそかくようじゃあまだまだガキだ。ほれ、さっさと休め」
「う~~~~」
「…意織、誰かを守るにゃまず、自分を鍛えねぇといけねぇ。
それにはたくさん寝るのも大事なんだぞ?」
「…じゃー父さんや紫皇は?寝ないの?」
「俺よりお前のがちいせぇ。わかるな?ちいせぇ頃寝まくった結果がコレだ」
「……ほんと?」
「つまんねぇ嘘はつかねぇよ」
「…むー」

まだ言いたいことがありそうな顔をしていたが、諦めて意織は寝床に向かった。
去り際に、入口にかけられた厚い布をぎゅっと握りしめながら。
「風漢、早く起きてよね」と、ベッドで荒い息を繰り返す男に向かって呟いた。


「さすがだなぁ、紫皇」
「本来なら親父の役目スよ、頭領」
がははと豪快に笑う。悪ィな、と言いつつ全く悪びれた様子もない意綱を軽くぬめつけ、
紫皇はふっと息を吐いた。
「…で」
「あ?」
「実際のとこ、どうなんスか。-風漢の、…『病』。」

しん、と空気に何かが走った。
紫皇自身の顔も少し、強張る。先程まで、…威厳のカケラも見えなかった男が。
…少し、目を鋭くした。
「…おめぇは、…『混沌(こんとん)』ってぇ呪いを、…知ってるか」
「…?何スか、それ。…呪い…?」
「今、野郎がかけられてるもんだ」
「?!」

冷静な男が、その目を見開き、苦しむ声のほうを思わず振り返る。
高熱、意識混濁、鈍い痛み。--これが、『呪い』?

「…じゃあ、さっき言ってた、闇の者が…っていうやつは…」
「あー?おめぇ分かってて止めに入ったんじゃねぇのかよ」
「魔術は俺の専門外ス。意綱がまたしょーもないパチこいてんじゃないかと」
「あんま頭領なめんなー?」
笑顔ながらも意綱のこめかみに小さく浮かんだ血管を無視しながら、
紫皇は先を促した。

「説明してもらってもいいスかね。…『混沌』とやらを」
「--口外無用だぜ?」
「あんたよりは信用できるっス」
「違ぇねぇな」

ぶはっと吹き出しながら軽く笑ったあと、意綱はまた少し表情を固くし、
言葉を続けた。

「…『混沌』は、人にかけられる呪いとしては最悪の部類に入る代物だ」
「………」
「…負の感情、怒りや悲しみ、憎悪といった暗い、強い感情、
また派手に闘うとかそういうのによって進行する病だ。
普通の人間として暮らしていくにはまず問題ない。が、俺らは戦闘民族だ。
闘い無しの生活はありえない」
「……そうスね」

深い目が更に濃さを増す。その様子を見ながら、意綱は淡々と話を続けた。

「両の眼、…こいつの場合は片目だな、それに魔力が宿り、
野郎に並以上の力を与えるだろう」
「…闘いはご法度、なのにスか?どうして」
「喰うんだよ」
「?」
「よくあるじゃねぇか。力を与える、代わりに摂る。」
「……何を、スか」
「人格だ」
「……!?!」

ヒトとしての人格。
呪われた眼が完全に見えなくなった時、…ヒトとしての自我が崩壊する。
代わりに失明した眼に再び魔が宿り、別の人格を形成する。
これを、「魔人」と呼ぶ。--

「……奴が。いなくなるってことスか」
「そうだな」
「マジンとかいうのになっちまったら。…もう元には戻せないんスか」
「それどころか」
「?」

目の前の主が、いつのまにか呑んでいた、煙草。
見慣れたそれを、どこか重く感じる。
息を吐き終わり、再び吸い終わるまで、…待つ。

「俺は」
目線が。
「この里の頭として、野郎を叩き出す」
「----」

(2)発端 下 に続く
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