忍者ブログ
交流企画「オリキャラRPG」様関連専用ブログです。 愛あふれております。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「…ぅ」

ふ、と。

至極自然に--俺の意識は戻った。
あたたかい。身体が少し冷えているような気がしたが、…あたたかかった。


「…こ こは…」

つい口に出しちまった。
それくらい身に覚えのないところだった。
…白い部屋だ。雰囲気からして医務室か、何か…?
…どこだ…?
警戒心を思い出す、その前に。


…やわらかい、何かがあった。


拍手[0回]


「……………」



――少女、…だった。

金糸の髪、伏せた長い睫毛は影を頬に落としている。

彼女は俺の寝かされていたベットの、すぐ傍らにいた。
小さく寝息を立てている。ベットの側には小さな椅子があり、そこに腰掛けて。

…いや、なんだ。
そんなことを言ってる場合じゃねぇ、ただ。



…俺は……。


この少女の、ちいさな手を。
何故か…握っていたんだ。


…郷では。
修業や、頭領や紫皇たちとなんやかやしてばかりで。
…今の自分には必要ないから、…女性と極力関わってきた覚えもなかった。
だからと言って苦手な訳でもねぇが――
いや…この子は恐らく、俺より10は下だろう。…女の子だ。
……いや、むしろよろしくねぇだろ。

なんで――なんで、…この子も――俺の手を…?


顔には、ほのかな赤みと、流れた涙が見えた。
…泣いていた?
何故だろうか、俺が知る由もねぇが――少し、痛む。
空いている手を伸ばし、軽く。
…それを、拭った。

ふる、と少女が身震いした。
寒いのか?…なんかかけてやったほうが良いだろうか。
俺は彼女が起きないように、極力。
…静かに、俺自身に掛けられていた薄いシーツを接ぎ、少女の肩に。
……起きなかった。

ふ、と息を吐き、腰を落ち着けた。

つと、…潮の音が聞こえた。
海がちけぇのか、と思った瞬間、外の空気が吸いたくなった。
…空を。見たくなった。

きし、と音を立てやがるベッドに彼女を残し、
俺は風の流れるまま、見慣れない部屋をとおりすぎ、…裸足のまま、外に出た。
なんで、急に空が見たくなったのかは、わからねぇ。ただ――


―――満天。


そこには眩しいくれぇの夜空が広がっていた。
足元には黒く穏やかに波音を返す海がある。
崖っぷちか。いい処に構えやがる。
…不思議な心地だ。

――ここは何処だったか、どのくらい意識がなかったのか、
何故ここにいたんだったかは――すぐに思い出せねぇが。

そんなことより、今は――
…この満天に。…懐かしい郷を想った。



―――元気だろうか。




その時、微かな物音がした。
振り向くと、さっきの嬢ちゃんが、はたはたと掛けてきた。
俺は、その仕草が、なんだか温かく思えて。
自然に--自分の頬が緩むのを感じた。


「……ぁ…」

「…っ」

ぱぁ、と。笑顔がこぼれた---

「くまさん!もう大丈夫なのかい!?」








クマ。






…俺は、自分の身体がぎしり、と硬直するのを感じた。



PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
(11)共鳴 HOME ウチの子印象ばとん
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
最新CM
[12/17 いつか]
[12/16 みえさん。]
プロフィール
HN:
いつか
性別:
女性
自己紹介:
交流企画「オリキャラRPG」様関連専用ブログです。
これからもずっとずっとご一緒できたらいいな。
カウンター
アクセス解析
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アクセス解析